◎テーマエッセイ:2年目のスタート(橋本敏子)
南芦屋浜震災復興住宅団地の生活が始まってまもなく1年を迎えようとしています。去年の今頃、寒風吹きすさぶアートワークの制作現場を駆けめぐっていたことが昨日のようです。「どう?うちの担当したピロティの作品がやっぱり一番やな」そんなことを楽しそうに語ってくださった現場の方々の顔を思い出します。
「人が住んで初めて本当のアートプロジェクトはスタートする」。これが、アートワークに関わったアーティストやスタッフの共通認識でした。今までになかった試みを実現するプロセスの重さとともに、アートワークが住民にどのように受け入れられ、人々の暮らしにどのような体験や出来事や人間関係を創造するきっかけになってくれるのか。あるいはどんな反発や批判が出てくるのか。アートプロジェクトをマネージメントするということは、どのようなことなのか。そのことの意味と現実に起こる問題を出来る限り見届けよう。そんな気持ちでこの1年近くの活動を行ってきました。
この度『MACA通信』の発行と応援団づくりをスタートしたのは、「その後どうですか?」とのお尋ねに、上記のような問題やそれぞれの場で起こっている出来事を、悩みも含めてお伝えしたいと思ったからです。そして住民の大多数を高齢者が占めるこの町にアートワークが根づくためには、関心を持ってくださる方々が見守り励まし続けることが何より必要であることを痛感したためです。
どの時点まで関わるかについては、基本的に自然の成り行きにゆだねたいと思っていますが、とりあえず3年間をひとくぎりに想定しています。発行は出来るだけ隔月、定期的に行う予定ですが、何しろ仕事を抱えてのボランティアのため、不定期になるかもしれません。皆さまのお便りやアドバイスをお待ちしています。
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